猫のうしろすがた

2015年8月26日。夕方に子猫を保護し、お店の営業を終えてから、20時頃一緒に帰った。しばらくはニコと部屋を分けるのがマストですよと、ネットが教えてくれた。

事のいきさつを、端折り気味にニコに報告。六畳一間を子猫の住まいとした。自由に行動できる外の世界から、六畳に連れてこられた子猫。不満を表明するかのように電化製品の影に隠れ、目を閉じてあまり動かなかった。触ろうとすると、シャアと威嚇された。その目は若かりし日の千原ジュニアの様だった。

家に帰る前に少しあげたけど、まだお腹空いてるかもなと思い、帰り道に買った子猫用のご飯をあげた。匂いに気付くと恐る恐る近寄ってきて、ジロジロクンクン様子をうかがってから、一口パクリ。「うまっ。」と思ったのか、ガツガツ食べた。必死の形相だった。食事中の目もあの頃のジュニアの様だった。

まじまじと子猫を観察してみる。素人目にも明らかなガリガリ。ニコとの出会い初日の事を思い出してみると、やはりこの子猫は、骨格と肉付きがアンバランスだった。

しばらくするとトイレにウンチをした。素人目にも明らかにダメな感じのウンチ。泥水みたい。鼻がひん曲がるほどくさい。白いちっちぇーミミズみたいなのいる。鮮血も混じっている。これ大丈夫か?どうなんだ?その日は深夜までネットサーフィンした。

翌日。子猫を連れて朝一番に動物病院へ。事のいきさつを詳細にスタッフに伝えた。持ってきたウンチも渡した。診察室に案内されると、いたのは山内先生。また同じ先生に診てもらえるのかと思うとホッとした。ひとまず血液検査をする事に。注射針を刺されても、子猫はビクとも動じなかった。

血液検査、糞便検査が終わり、再度診察室に通された。

  • 生後4ヶ月くらいのメスであること。
  • 体重480g。これは生後一ヶ月の子猫と同程度。極端に痩せていて、生きているのが不思議なこと。
  • 脱水状態がヒドいので、すぐに輸液の処置が必要なこと。
  • 血液検査の結果、エイズと白血病は陰性で、その他も大きな問題点は無し。この状態からすると、それはほぼ奇跡といって良いということ。
  • コクシジウムという寄生虫が便から観察された。脱水と下痢がヒドいのは、恐らくこれが原因であること。

などを伝えられた。コクシ?ジウム?前夜のサーフィンでは目にしていない言葉だった。「コクシ。厄介な寄生虫です。」と山内先生が言った。そういう風に略すのねと思った。「二流の寄生虫でしたら駆虫薬で済むんですが、コクシは一流です。」と山内先生は教えてくれた。

猫がウンチをする→時間が経つとウンチが乾燥→ウンチ内のコクシの卵が飛散→部屋の各所にコクシが爆誕→歩き回る猫の体にコクシが付着→猫が毛繕いをする際に、口から体内へコクシが侵入→猫の体内でコクシが成長し、卵を宿す→猫がウンチを・・・

いつまでも続くこのループを形成しているのが、コクシが一流たる証だと思う。

このループを断つには

1. ウンチをしたらソッコー片付け
2. 猫のお尻についたウンチを拭き取る

1と2を24時間の監視体制下で行い、体内からコクシを少しずつ撲滅する。監視を怠って、「気付いたらウンチしてた。ヘタこいた。」って時は追加のTO DOが必要で

3. トイレの容器を熱湯消毒
4. コクシ撲滅特殊液体で部屋中を清拭
5. 3と4の最中に着ていた衣服を熱湯消毒

コクシは熱湯に弱いけど、部屋中の熱湯消毒は不可なので、撲滅特殊液体が必要。それは猫や人間には無害だけどコクシには有害という、正に特殊な液体。衣服にも卵が付着し、最悪ニコにも寄生する恐れがあるので、3と4の最中に身につけていた衣服は、熱湯消毒必須。24時間監視体制の付き添いの際、布団は使えない。なぜなら、布団に卵が飛散しても、“布団丸ごと熱湯消毒サービス”みたいなサービスを掲げている業者はないし、自宅では難しいから。私はしばらく床にゴロ寝する事になった。

1〜5を徹底した上で、人間は除菌石鹸で手洗い励行。一週間毎に便検査をおこない、二回連続でコクシが観察されなければ、撲滅作戦完了とする。山内先生のスパルタな指導だった。「頑張りましょうね。」と優しく励ましてもくれた。

床でのゴロ寝は、最短でも二週間か。でも検査でコクシ陽性が出たら振り出しに戻るから、いつまで続くか分からんのか。めちゃくちゃ大変じゃんそれと思った。これからの数日でなさねばならぬ事を想像して、頭がクラクラした。その日の会計は16,390円だった。頭は重く財布は軽い。

新たに発行された診察券。名前の欄に子猫ちゃんと記載されていた。そうかそうか。名前を決めなきゃならんのだ。

動物病院からの帰り道、東の空に富士山が。「名前、山ちゃんにしようよ。この時期にしては珍しく富士山がくっきり見えてるし、その周りの山もくっきりだし。」と相方が言った。どういう発想なんだそれ、ヒネリとかゼロじゃん。「あのですね。南海キャンディーズみたいだし、手羽先唐揚げの有名店みたいだし、他ありませんか?」と伝えると、「じゃあサンちゃん!山を音読み!」と言われた。その目はマキバオーのようにキラキラしていた。名前はサンに決まった。

 

糸デンワ

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