猫のうしろすがた

猫との暮らし若葉マークの私が驚いたのは、その年齢の重ね方が独創的であること。生後一年でスクスクグングン成長して、とある時点からは一定のペースかつけっこう早足で歳を取っていく。

備忘録も兼ねて、猫年齢(または月齢)=人間年齢という形で、以下に記しておこうと思う。

1ヶ月=1歳
2ヶ月=3歳
3ヶ月=5歳
6ヶ月=9歳
9ヶ月=13歳
1歳=18歳
1歳半=20歳
2歳=24歳
3歳=28歳

2歳以降の猫の一年は人間の四年に相当するそうで、3歳=28歳、4歳=32歳、5歳=36歳、4歳=40歳という具合らしい。ふむふむ。

と言ってもこれらは全て人間からの視点で、「ニコって何歳?」と聞かれたら普通に猫年齢を答える。人間年齢に置き換えるのは、猫と暮らす私達が必要になる事があるだけで、猫にとってはどうでもよいだろう。猫も一年で一つ歳を取る。

ヨチヨチ歩きのニコを保護。よく食べよく寝てよく遊び。小学校5年生くらいになって避妊手術を受けてもらった。あんなに小さかったのに、あの大手術に良く耐えてくれたなと思う。プールサイドを走り回ってズッコケて頭を打って、一針だけ縫ってもらったのが人生イチの大怪我という私の経験値を、ニコは軽々と飛びこえていった。思えばあれは5年生の時の出来事だった。

それにしても、猫の1歳半は人間年齢で20歳、というのには驚かされる。成長痛がひどくてうなされたりするのかな。反抗期をむかえて無視されたら悲しいな。「洗濯物、オッサンとは別々にして!」とか言われたら落ち込んじゃうな。まぁでも日々元気でいてくれさえすればいいよ、と真に純粋に思える存在がニコであり、猫という生き物なんだと思う。

ひるがえって人間という生き物をみると、内申点、進学、就職、人間関係、給与、預貯金、株価、老後。未来の心配ばかりして生きている。猫は日々を楽しそうに暮らしている。先のことを心配してあくせくすることはない。隣の芝生は青いと嘆くこともない。

キムラ緑子もチャーミングだけど、ニコはもっともっと可愛らしいよな。日々そんな事を思って平穏に暮らしていた、2015年8月下旬のある日。

その子猫は突然あらわれた。当店が入っている建物のすぐ裏手、古風な民家の敷地内に。遠目からでも分かる痩せ細り具合だった。放っておけば数日以内に死ぬだろう。若葉マークの私でも、直感的にそう考えてしまうほどガリガリだった。子猫はミャアミャアと懸命に鳴き続けている。助けを求めてさまよい歩き、ここにたどり着いたのか。その声は既にしわがれていた。

福岡県に帰省中の相方に↑↑の画像を写メ。保護して家に連れて帰ろうと思うと伝える。勿論そうして下さいと相方からの返信。古風な民家の住人に許可を得て、子猫用のご飯と水を置かせてもらう。日が暮れて姿は見えなくなった。悲痛な鳴き声だけが響いていた。

翌朝6:00に様子を見に行く。鳴き声が聞こえない。ダメだったか…と思いながら辺りを見回すと、昨日と同じ場所で眠っている。置いていったご飯はかなり減っていた。しばらくすると私に気付き、しわがれた声で鳴き始める。新たなご飯を器に入れ、民家の敷地外、店の裏の勝手口のあたりに置き、地蔵の如くジッと動かず様子をうかがう。警戒して近寄ってこない。営業時間中もずっと気にして見ていたけれど、やはり近寄ってこない。昨日と同じ場所、民家の敷地内にご飯と水を置かせてもらい、住人に挨拶をして帰宅。

翌朝も6:00に様子を見に行く。しわがれた声が響いている。良かった生きていてくれたと思う。置いていったご飯は食べている様子。前日同様、当店の勝手口のあたりに新たなご飯を置いて地蔵待ち作戦。めちゃくちゃ腹が減っているのか、トボトボ歩いて近寄って来てガツガツご飯を食べている。千載一遇の捕獲チャ〜ンスと思い手を伸ばすと、猛ダッシュで逃げていった。その日は二度と近寄ってこなかった。やってしまった…もう二度と近寄ってくれないかも…昨日同様、民家の敷地内にご飯と水を置かせてもらい、住人に挨拶をし、無念の思いで帰宅。

翌朝は5:00に様子を見に行く。今日こそは何とかせねば。というのもその日の夜は大雨予報で、ガリガリかつHP少なめな子猫が雨に打たれでもしたら、待っているのは最悪の事態だから。マジでどげんかせんといかんのです。いつも通り、勝手口ご飯置き地蔵待ち作戦を実施。昨日の私の蛮行を許してくれたのか、近寄って来てムシャムシャご飯を食べている。よしよし、近付いて来てくれそうだ。日のある内に再度ご飯をあげて、その時に保護しよう。そう決心し、当店の近所在住の頼れる職人オジさんに助っ人を依頼。2015年8月26日15:00頃、勝手口ご飯置き地蔵待ちハサミウチ保護作戦を決行した。オジさんの活躍で作戦は無事成功。子猫を掴んだ際に指を噛まれて、オジさんは怪我を負った。力いっぱい噛めるくらい元気で良かったと言って笑っていた。素敵な笑顔だった。

改めて子猫の様子を観察すると、想像以上に状態が悪そうだった。身体中が薄汚れていて、ノミがピョンピョン飛んでいる。肋骨は浮かび上がり、頬はこけている。ギュッと握りしめたら簡単に壊れてしまいそうだった。狭いところに閉じ込められて不満そうだった。その愛らしさは天下一品だった。

 

糸デンワ

静岡市清水区巴町9-21 丸二ビル3F
open 12:00-19:00
close Thu. Fri.

HP:https://ito-denwa.com
IG:itodenwa_shizuoka

tel:090-9572-0046
mail:info@ito-denwa.com