猫のうしろすがた

きのこの山とたけのこの里。字幕と吹き替え。インドアとアウトドア。WindowsとMac。こしあんとつぶあん。

世の中には、答えを出すのが難しい永遠の論争がある。その代表格と言えば「猫派か犬派か」ではないだろうか。

猫ってつっけんどんな感じだし、愛想が無さそうだから、あたしゃ犬派だね。自信満々にそう言う人がいるけれど、子猫の可愛さに出会っても、同じ派閥でいられるのだろうか。まぁまず無理でございますわよと、経験者の私は骨身に染みて実感している。

子猫ほど愛らしい存在を、私は知らない。犬派だと公言している人も、必ずや寝返ってしまう可愛らしさだと思う。子猫1匹でも凄まじいのに、いきなり2匹。メロメロ&デレデレになるのは必然だと思う。

生活空間が愛らしさで満たされるというのは、とんでもなく楽しくて嬉しい。

ニコと出会い、サンと出会い、猫と暮らすことの意味を少しずつ教えてもらった。猫がいない生活からいる生活への変化というものは、白黒テレビからカラーテレビへ、くらいの生活革命だと思う。

そこへ、子猫のゴマとシオがやってきた。カラーテレビが一気にVRへ進化したような、とてつもなく色鮮やかな世界が始まった。

そんな猫について、ブログに書く際や、お店のお客様や知人や動物病院のスタッフと話す際、思い悩んでいる事がある。それは「匹」という単位についてである。

猫の正式な数え方は「匹」。阿呆な私でも、その位は知っている。知っているのだけれど、猫を愛すれば愛するほど、「匹」という言葉に、引っ掛かるようになってしまう。

どこか事務的な気配が漂う、「匹」という単位。

猫も犬も、金魚も鮎も、カメもヤモリも、トンボもカブトムシも、まとめて「匹」。もちろん間違いではないのだけれど、共に暮らし、個性や機嫌や調子があって、いま通じ合っているなという時を共有する猫を、その他の多くと同じ「匹」で括るのは、何だか味気ない気がする。

猫特有の単位があれば良いのだけれど、探しても見つからない。

では「人」と数えるのはどうだろうか。考えてみたけれど、やはり違うと思う。猫好きというのは、猫を人間扱いしているようで、実はそうではない。人間と全然違うからこそ、あんなにも魅力的な訳であって、擬人化はなるべくしないようにしたい。

では「頭」はどうだろうか。町田康も著作の中で推している、由緒正しき単位。牛や馬や象などに用いられる「頭」は、どことなく立派というか高貴な感じがするので、猫自身も案外気に入ってくれそうな気がする。

ただ、「いま家には猫が四頭います」と口にした瞬間、「コイツは単位を知らない間抜け」と思われる危険性が拭えない。そんな間抜けと思われたくないという、虚栄心も働いてしまう。

そんな訳で、この先も「匹」を使うことにする。するのだけれど、本意ではない。

猫への愛を貫くことよりも、世間体や見栄のほうが勝ってしまう。私の器がシルバニアファミリー並みに小さいがために、このような結論に至ってしまった。本当に申し訳ない。

本ブログで「匹」と書くたびに、心の中で「ごめんね」を付け足そうと思う。

ふとゴマとシオに目をやると、そんなことは一切気にしていない様子でいる。ゴマは今日も何でもない紐と真剣勝負を繰り広げ、シオはお腹まる出しでスヤスヤと眠っている。「匹」だろうが「人」だろうが「頭」だろうが、猫にとってはどうでもいい。どうでもいいことについて、いつまでもウジウジと悩んでいるのは、人間だけなのかもしれない。

猫と暮らすと、そういう実にくだらなくて、実に幸せな悩みが増えていく。

 

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